横浜在住のTさん(50歳)は、会社員で、妻と子供2人がいます。Tさんの趣味と言うと、ギャンブルで競馬・競艇・競輪・パチンコなどさまざまギャンブルにはまっていました。しかし、今までは毎月のお小遣いの中でやり繰りしていたので、誰にも迷惑をかけず、家族も心配はしていませんでした。
ある日、いつものように競馬場に行き、馬券を買ったところ、Tさんの買っていた大穴馬券が的中し、1000円が200万円にもなってしまったのです。気を良くしたTさんは、帰宅するとその話を家族に話し、高級料理店に外食に行ったり、妻や子供にプレゼントしたり、満足感でいっぱいでした。このことからTさんは競馬にはまっていき、毎週土曜日、日曜日は競馬場に通う生活が続きました。
しかし、良いことは続かず、連戦連敗でお小遣いはすぐにそこをつきました。今までのTさんなら、ここで大人しく帰宅していたのですが、万馬券を当てたことに自信を持っていたTさんは、競馬場近くにある消費者金融の無人契約機でカードを作り、借入れをしてはそれを競馬に使ってしまったのです。増えていく借金とカードに焦りを感じながら、前のような万馬券がくれば一気に返済できると自分に言い聞かせ、競馬を続けていたのですが、結局、勝つことはできず、600万円(毎月20万円)もの借金だけが残ってしまいました。
これを知った家族は、激怒し、それ以来全く口も聞いてくれなくなってしまいました。取立ての電話が鳴り止まず、どうにかしなければいけないと思ったTさんは「自己破産」するしかないと思い、「自己破産」について調べたところ、ギャンブルを原因とする借金は、「自己破産」してもなくならないということを知りました。Tさんは絶望し、自殺も考えていました。そんな時、1人で部屋で悩んでいると、あれ以来全く言葉を交わしていない、奥さんと子供たちがTさんを呼び出しました。
Tさんは、奥さんが離婚をすると言い、子供達と出て行くという話を切り出されると思っていました。しかし、奥さんと子供達から出てきた最初の言葉は「ごめんなさい。」という言葉でした。万馬券を取ってきた時に、あれほど浮かれていたしまった自分達にも責任があるというのです。Tさんは涙が止まらず、自分の安易な行動が奥さんや子供達を巻き込んでしまったことに自分が情けなくて仕方がありませんでした。さらに、奥さんと子供達で司法書士さんの所に相談にいって、いい解決方法を見つけてきてくれたと言うのです。次の日、Tさん家族は揃って、司法書士事務所を訪れました。 |