S夫婦は12年前に結婚し、2人の子供(10歳・8歳)にも恵まれ幸せな毎日を過ごしていました。
5年前に夫が体調を壊し、入院することになりました。検査の結果、緊急手術が必要だということで、高額な費用を支払わなければならなくなりました。妻は銀行関係から夫名義で200万円を借り入れ、さらに友人から100万円を借り入れました。手術は無事成功したのですが、仕事に復帰するために約半年のリハビリが必要になるということでした。仕事に復帰するために必死で頑張る夫の姿を見ると、借金のことを言い出すことができませんでした。その後の生活費などのために、仕方なく消費者金融からの借り入れを始め、夫名義のカードでキャッシングなどをしながらどうには生活してきました。半年後、夫も完全に回復し、仕事に戻ることができましたが、この時借金は夫名義で400万円、妻名義で300万円までにも膨れあがっていたのです。もちろん、このことはすぐに夫にも知られ、「責任は 自分にあるから、頑張って返済していこう」と二人で決意を固めました。
しかし、毎月の返済は合わせて25〜30万円にもなり、妻もパートを始めましたが、子供もまだ目がはなせなかったため、それほどのお金は稼げませんでした。そして、徐々に返済が遅れ、催促の電話や手紙が毎日のように届き、夫婦共々、精神的におかしくなってきました。毎日のように夫婦での喧嘩を繰り返し、電話の音がなる度に恐ろしくなり、子供達にも八つ当たりしてしまうこともありました。徐々に限界が近づいてきていることはお互い感じてきており、「もう死んだ方が楽だろうね」という会話も出てくるようになりました。
そして夫婦で本気で死ぬことを考え始めた夜のことでした。夜中に夫婦でこれからについて話していると突然、子供達が起きてきて、「パパ、ママ死なないで。置いていかないで。」と泣き出したのです。S夫婦は「絶対にお前たちを置いていったりしない」と子供たちを強く抱きしめ、一晩中泣き明かしました。
次の日、今までとは全く違う夫婦がそこにはいました。借金から逃げることではなく、解決する方向に初めて目を向けたのです。そして、借金を解決するための様々な情報を集め、司法書士に相談に行くことにしました。 |